【汎用インカムのおすすめ】専用機が選べないヘルメットの選び方|SHOEI・Arai・OGK 3社の違い
インカムを調べていると、どうも自分の話ではない気がしてくる。
出てくるのは「ヘルメット専用設計」「ビルトイン」「すっきり収まる」といった言葉ばかりだ。写真もきれいで、たしかに魅力的に見える。ところがその対応表を開くと、自分のヘルメットの名前がどこにもない。
SHOEI Z-8 も、Arai RX-7X も ASTRO-GX も、OGK KABUTO KAMUI-5 も、専用ビルトインインカムの対応リストには載っていない。載っているのは GT-Air 3・NEOTEC 3・J-Cruise 3 といった、ごく一部の機種だけだ。
そこで多くの人がこう考える。「自分のヘルメットは、いいインカムを選べない側なんだな」と。
だが、それは正確ではない。ヘルメットメーカー各社は、専用機を持たないヘルメットに汎用インカムを付けることを、それぞれのやり方で織り込んでいる。SHOEI にいたっては、そのための純正部品を2,860円で売っている。
この記事では、SHOEI 公式・Arai 公式・OGK KABUTO 公式・SENA 公式の情報をもとに、
- 専用インカムが無いヘルメットに、何を選び・どう付けるか
- ヘルメットメーカー3社で、備えがまったく違うという事実
- 本命として SENA 60S EVO を挙げる理由と、あえて下位機を選ぶべき場合
- 買う前に知っておきたい、スピーカーの厚みという本当の関門
を整理する。読み終えるころには、自分のヘルメットに何を買えばいいかを、根拠を持って決められるはずだ。
※本記事はアフィリエイト広告(PR)を含む。商品リンクから購入された場合、売上の一部が当サイトに還元されることがある。評価・紹介内容は公式スペックと公式情報に基づく独自の調査によるもので、報酬の有無で内容を変えていない。
結論:汎用インカムは「本体の付き方」ではなく「スピーカーの収まり」で決まる
先に結論を書く。
- 専用機が無いヘルメットでも、汎用インカムは問題なく付く。 むしろ選べる機種の数は専用機より多い。
- 本体をどう固定するかは、ほぼ悩まなくてよい。 SENA の現行機はいずれも、挟む方式と貼る方式の両方を同梱している。
- 本当に確認すべきはスピーカーの厚みだ。 ここだけは、ヘルメット側の作りによって当たり外れが出る。
そして、ヘルメット側の備えはメーカーで3通りに割れている。ここを知らずに買うと「思っていたのと違う」が起きる。
| メーカー | ヘルメット側の備え | 買う人がやること |
|---|---|---|
| SHOEI(Z-8・X-Fifteen・Glamster ほか) | 純正の取付ホルダーを別売している(SHOEI Universal Com Holder・2,860円税込) | インカム本体+純正ホルダーを合わせて用意する |
| OGK KABUTO(KAMUI-5 ほか) | ヘルメット本体に取付スペースとケーブルルートが作り込まれている | インカム本体だけでよい |
| Arai(RX-7X・ASTRO-GX ほか) | 公式にインカム取り付けの案内が見当たらない | 加工を伴わない付け方を選ぶ |
本命に挙げるのは SENA 60S EVO(59,800円・税込) だ。ただし理由は通話性能でも音質でもない。クランプキットが2セット入っていて、2つのヘルメットに付け替えて使えるからである(詳しくは根拠2)。
ただし、無条件では勧めない。60S EVO のスピーカーは厚み9mm で、SENA の現行機のなかで最も厚い。 耳まわりの窪みが浅いヘルメットでは、この厚みが当たることがある。その場合は厚み7.2mm の SENA 50S や 5S を選ぶほうが、結果として満足度は高い。
- そもそも自分のヘルメットが専用機を選べる側かどうかを先に確かめたいなら「SHOEI COMLINK 完全ガイド」
- 手持ちのインカムを対応ヘルメットの純正位置に付けたいなら「SHOEI COMLINK アダプター解説」
- 機種選びそのものを広く見たいなら「バイク インカム おすすめ5選」
専用インカムが無いことで、むしろ得られる3つのこと
「専用機が選べない」は不利に見えるが、実際には逆に働く面がある。この記事を読むと手に入るのは次の3つだ。
- 選択肢がむしろ広い。 専用ビルトインは対応ヘルメットが決まっているぶん、選べる機種が4つ前後に限られる。汎用インカムにその制約はなく、SENA・B+COM・Cardo の現行機がすべて候補になる。予算3万円以下から6万円台まで、価格帯も自由に選べる。
- 付け方を自分で選べる。 挟むか、貼るか。マイクをブーム式にするか有線式にするか。ヘルメットの形に合わせて決められるのは汎用機だけの利点だ。専用機は、決められた位置に決められた方法で付ける一択になる。
- ヘルメットを買い替えても持ち越せる。 専用ビルトインは、ヘルメットを替えると原則そのまま移せない。汎用インカムなら次のヘルメットにも付け替えられる。5万円前後の買い物を、ヘルメット1個分の寿命で終わらせずに済む。 60S EVO にいたっては、2つのヘルメットに同時にマウントを付けておける部品構成になっている。
以下では、この3つを支える根拠を順に見ていく。最後に機種のスペックと価格、選び方を整理する。
根拠1:ヘルメット側の備えは、メーカーで3通りに割れている
汎用インカムの記事はたいてい「どのヘルメットにも付く」で済ませてしまう。だが公式情報を当たると、3社の姿勢はまったく違う。ここが本記事でいちばん伝えたい部分だ。
SHOEI──非対応機のために、純正ホルダーが用意されている
SHOEI は COMLINK 対応モデル(GT-Air 3・NEOTEC 3・J-Cruise 3)に専用インカムを用意している一方で、COMLINK を持たないモデルのためにも別の純正部品を出している。
SHOEI Universal Com Holder(2,860円・税込/JAN 4512048572648)だ。対応ヘルメットは公式ページに次のように並んでいる。
X-Fifteen シリーズ/X-Fifteen Carbon シリーズ/X-Fifteen 02 シリーズ/X-Fourteen シリーズ/Z-8 シリーズ/Z-7 シリーズ/RYD シリーズ/Glamster シリーズ/EX-ZERO シリーズ/J-FORCE IV シリーズ/J・O+ シリーズ/J・O シリーズ/HORNET ADV シリーズ/WYVERN ∅ シリーズ
(出典:SHOEI 公式 Universal Com Holder)
この顔ぶれを見てほしい。COMLINK 対応の3機種が1つも入っていない。 つまりこの部品は、COMLINK を持たない SHOEI ヘルメットの受け皿として用意されているということだ。
※2026年8月7日 追記(COMLINK 搭載機にも例外がある):この整理には、2026年9月発売の Z-9 という例外が加わる。Z-9 は COMLINK 対応をうたっているので、本来なら本記事の対象外だ。ところが——
- Z-9 に専用インカム(B+COM SX1/SENA SRL3)を付けるには「SHOEI COMLINKアダプター」(3,300円・税込)が要るが、その対応サイズは XS〜XXL のみで、XXXL・XXXXL は非対応。
- そして上の Universal Com Holder の対応14シリーズにも Z-9 は入っていない(Z-8 は入っている)。
つまり Z-9 の XXXL・XXXXL を選んだ人は、純正の受け皿がどちらも無い——本記事が扱っている「専用機を選べない側」に、実質的に該当することになる。この場合は、各インカムに付属するクリップや両面テープでの装着になり、以下のスピーカーの厚みの話がそのまま効いてくる。
⚠️ただし「Z-9 は専用機が選べない」と一般化しないでほしい。XS〜XXL なら SX1・SRL3 を選べる。当てはまるのは大型2サイズだけだ。Z-9 側の事情は「Z-9 のインカム|専用2機種と「Gen3 では通じない3つの落とし穴」」で整理している。
この部品は何をするものか
SHOEI 公式の製品ページには、この部品の用途を説明する文章が載っていない。掲載されているのは対応機種の一覧と JAN コード、そして次の案内だけだ。
インターコム本体の装着方法については、各インターコムメーカーへお問い合わせください
(出典:同上)
だが、公式の取扱説明書を読むと仕組みが分かる。要点はこうだ。
Universal Com Holderを取り付けるには、まず、チークパッドを外します。次に、(中略)シェルとライナーの間にUniversal Com Holderを差し込み、取り付け位置を確認します。(※面ファスナーはメス側(面ファスナー大)をシェルに、オス側(面ファスナー小)をUniversal Com Holderに貼り付けます。)
最後に、インターコムを取り付け、チークパッドを取り付けます。
(出典:SHOEI 公式 Universal Com Holderの取り付け方(PDF))
つまり 面ファスナー(マジックテープ)でシェルに固定し、シェルとライナーの間に差し込んで留めるベースであり、そこにインカムを取り付けるという構造だ。帽体の縁を直接挟むのではなく、インカムを付けるための土台をヘルメット側に作る部品だと理解すればよい。
同じ取扱説明書には、この部品を使ううえで知っておきたい注意が並んでいる。どれも購入前に知っておく価値がある。
- 一度取り付けたら、インカムを付けない日でもホルダーは外さない。 公式は「インターコムを取り付けない場合であってもUniversal Com Holderをヘルメットに取り付けたまま使用してください」とし、外すと面ファスナーに汚れやホコリが付いて保持力が低下すると説明している
- 面ファスナーの粘着面は貼り直すと粘着力が低下する。 位置決めは慎重に
- 貼る場所はシェルの凹凸が少ない平らな面。凹凸のある面では粘着力が落ちる
- 差し込んだまま位置をずらすと、フチゴムと塗装表面に傷が付く恐れがある
- ヘルメットを落とすとホルダーごとインカムが脱落する恐れがある
(出典:同上)
なお、公式ページには装着例として Cardo PACKTALK BOLD と SENA 50S の名前が挙がっている。ホルダーそのものは特定メーカー専用ではなく、取扱説明書も「お手持ちのインターコムのコードの取り回しを必ず確認してください」と汎用機を前提にした書き方をしている。ただし SENA 60S EVO との組み合わせについて公式の明示はないため、心配なら購入店で確認してほしい。
この部品は SHOEI の公式オンラインストアでは2026年8月2日時点で欠品中となっている(出典:SHOEI Gallery Online Store)。バイク用品店やオンラインの流通在庫は別なので、実際に買うときは複数の販売店を当たってほしい。
OGK KABUTO──ヘルメット本体に取付スペースが作り込まれている
OGK KABUTO のアプローチは対照的だ。別売部品ではなく、ヘルメット本体に最初から作り込んでいる。
現行のフルフェイス KAMUI-5 の公式ページには、こう書かれている。
インカムやカメラを考慮した専用取付スペースを予め左右に設定。ケーブルルートも同時に設置しており、コードもスマートに配線できます。※一部特殊な形状は取付不可
(出典:OGK KABUTO KAMUI-5 製品特徴・仕様)
「インカムを付ける前提で設計しました」と公式が明言しているわけだ。取付スペースだけでなくケーブルの通り道まで用意されている点が実用的で、配線が内装からはみ出す不格好さを避けやすい。
さらに、KAMUI-5 の新製品リリースにはスピーカー側の改良も明記されている。
スピーカーホールを拡大し、インカムなどの装着性を向上。
(出典:OGK KABUTO 新製品リリース KAMUI-5)
スピーカーが収まる穴そのものを広げたというわけだ。これが後述の根拠3(スピーカーの厚み)に直結する。
ただし公式自身が「※一部特殊な形状は取付不可」と断っている。すべてのインカムが無条件に収まるという意味ではない。
なお、ここで確認できたのは KAMUI-5 についてだけだ。同じ OGK KABUTO でも、他機種に同じ設計があるかどうかは機種ごとに公式ページで確認してほしい。 KAMUI-5 そのものの実力は「OGK KABUTO KAMUI-5 レビュー」で扱っている。
Arai──公式にインカムの案内が見当たらない。だから「加工しない付け方」を選ぶ
Arai は3社のなかで最も情報が少ない。
Arai 公式のよくあるご質問には、インカム・ヘッドセット・スピーカーの取り付けに関する項目が見当たらない(出典:Arai 公式FAQ)。取付スペースの案内もなければ、純正ホルダーのような部品も確認できない。
これは「Arai にインカムを付けられない」という意味ではない。 サインハウスは B+COM の取り付け手順ページで RX-7X や RAPIDE-NEO を個別に扱っており、実際に装着している人も多い。公式が案内していない、という事実にとどまる。
ただし、Arai オーナーが1点だけ気をつけたいことがある。同じ FAQ のなかで、修理の受付条件について次の趣旨が繰り返し示されている。
穴あけ等の改造や転倒による痕跡がなければ、弊社アフターサービス窓口……にて交換修理を承ることができます
(出典:同上)
つまり、帽体に穴を開けるような加工をすると、その後の交換修理を受けられなくなる可能性がある。インカムを付けたいがために帽体を加工する、という発想は取らないほうがよい。挟む・貼るといった、加工を伴わない付け方を選ぶのが安全な判断だ。
Arai の帽体設計そのものは「Arai RX-7X レビュー」「Arai ASTRO-GX レビュー」で整理している。
3社の違いを1枚に
| メーカー | 公式の備え | 追加で買うもの | 出典 |
|---|---|---|---|
| SHOEI | 純正ホルダーを別売(対応14シリーズ) | Universal Com Holder 2,860円(税込) | SHOEI 公式 |
| OGK KABUTO | ヘルメット本体に取付スペースとケーブルルート(KAMUI-5 で確認) | なし | OGK 公式 |
| Arai | 公式に案内が見当たらない | なし(加工しない付け方を選ぶ) | Arai 公式FAQ |
どの答えでも、汎用インカムは付く。 違うのは「付き方」であって「付くかどうか」ではない。
根拠2:汎用インカムは「取り付け方を2つ持って」出荷される
「専用機が選べない=取り付けに苦労する」というのが、多くの人の思い込みだ。だが同梱物を見ると、話はまったく逆である。
挟む方式と貼る方式が、最初から両方入っている
SENA の現行3機種の公式パッケージ内容を見ると、どれも取り付け部品が2種類入っている。
| 機種 | 挟む方式 | 貼る方式 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 60S EVO | ヘルメットクランプキット × 2 | 貼り付け式マウントプレート × 1 | 60S EVO パッケージ |
| 50S | クランプユニット | マウントプレート | 50S パッケージ |
| 5S | クランプユニット | 貼り付け式マウントアダプター | 5S パッケージ |
これは実務的に大きい。ヘルメットの帽体の縁は、機種によって厚みも形も違う。挟めなければ貼ればいいという逃げ道が最初から用意されているため、「買ったけれど固定できない」で詰まりにくい。
専用ビルトイン機はこの選択肢を持たない。 対応ヘルメット以外には物理的に付かないからだ。汎用機は「妥協」ではなく「取り付け方を選べる」というのが実態に近い。
なお、ここで挙げたのは SENA の3機種だ。他社の汎用機も同種の部品を同梱していることが多いが、買う前に同梱物のリストを見て、クランプ式と貼り付け式の両方が入っているかを確かめるのが確実だ。
フルフェイス用の有線マイクとジェット用のブームマイクも両方入る
マイクも同じ構造になっている。3機種とも、ブームマイクとケーブル(有線)マイクの両方が同梱されている。
- ブームマイク──アームで口元まで伸ばす方式。ジェットヘルメットやシステムヘルメット向き
- 有線(ケーブル)マイク──細いケーブル状で、チンガードの内側に貼る方式。フルフェイス向き
Z-8 や RX-7X のようなフルフェイスなら有線マイク、J・O+ のようなジェットならブームマイク、と買ったあとに選べる。マイクの種類を間違えて買い直す、ということが起きない。
60S EVO だけの利点は「2つのヘルメットで使い回せる」こと
ここまでは汎用インカムに共通する話だ。そのうえで 60S EVO を本命に挙げる理由が、クランプキットの数にある。
60S EVO はシングルパックに ヘルメットクランプキットが2セット入っている。SENA 公式は、この2セットの意味をこう説明している。
2つのフルフェイスにも、フルフェイスとシステムヘルメットでも。付属の2ユニバーサルマウント同梱、ライフスタイルに合わせて使い分け。
どのヘルメットに取り付け可能な2セットのユニバーサルクランプキット
(出典:SENA 60S EVO 製品ページ)
つまり2つのヘルメットにマウントだけを取り付けておき、本体を付け替えて使えるということだ。ツーリング用と街乗り用でヘルメットを分けている人、フルフェイスとジェットを使い分けている人には、これがそのまま利点になる。50S・5S の公式同梱物リストには「クランプユニット」が1種類挙がっているだけで、2セットという記載は見当たらない。
同梱物の全体像(60S EVO シングルパック)
60S EVO 本体/交換用フェイスプレート × 3/ヘルメットクランプキット × 2/貼り付け式マウントプレート × 1/スピーカーパッド × 2/スピーカー固定用ベルクロ × 4/ブームマイク × 2/有線マイク × 2/マイクスポンジ × 4/ブームマイク固定用ベルクロ × 2/有線マイク固定用ベルクロ × 2/ブームマイクホルダー × 2/ブームマイクホルダー固定用ベルクロ × 2/クランプ用マグネットカバー/3.5mmオーディオアダプター/USB Type-C充電ケーブル
(型番0411372/JAN 4560246096442。出典:SENA 60S EVO パッケージ)
スピーカー固定用ベルクロが4枚、マイクスポンジが4個と、位置決めをやり直すための消耗品まで入っている。汎用インカムの取り付けは一発で決まらないことが多く、この余裕は効いてくる。
製品そのものの評価(音質・通話性能・評判)は「SENA 60S EVO レビュー」で扱っている。本記事はあくまで「ヘルメットへの付き方」に絞る。
根拠3:本当の関門はスピーカーの厚み──しかも上位機ほど厚い
ここが、この記事でいちばん正直に書いておきたい部分だ。
汎用インカムを付けた人が実際につまずくのは、本体の固定ではない。スピーカーである。 「耳が痛い」という声は個人ブログでも繰り返し取り上げられていて、なかには内装のパッドを削るところまで踏み込んでいる例もある(出典:Ashika Records GROM散歩)。
ところが、インカムのランキング記事はこの数字をまず載せない。人数・通話距離・価格は比べても、スピーカーの厚みは比べない。
SENA の現行3機種で、最上位機がいちばん厚い
| 機種 | スピーカー | 重量 | 出典 |
|---|---|---|---|
| SENA 60S EVO | 40mm × 厚み9mm | 68g | 60S EVO 機能・仕様 |
| SENA 50S | 直径40mm × 厚み7.2mm | 64g | 50S 機能・仕様 |
| SENA 5S | 40 × 厚み7.2mm(ドライバーユニット) | 48g | 5S 機能・仕様 |
最上位の 60S EVO が、いちばん厚い。 下位機との差は1.8mm だ。
数字だけ見れば小さい。だが、耳とスピーカーの間はもともと数ミリしかない。1.8mm は、当たるか当たらないかを分けうる幅である。
どこで差が出るか
ここまで見てきたメーカー別の事情が、そのまま効いてくる。
- OGK KABUTO KAMUI-5 は、公式が「スピーカーホールを拡大し、インカムなどの装着性を向上」と明記している。穴そのものを広げているのだから、9mm でも収まる余地がある
- SHOEI Z-8 や Arai RX-7X のようにイヤーパッドを外すと浅い窪みが現れるタイプは、機種と頭の形によって当たり方が変わる。ここで1.8mm が効く
つまり、60S EVO を選んでよいかどうかは、価格でも性能でもなく、自分の帽体の窪みの深さで決まる。これが本記事の結論の中身だ。
加工で解決しようとしない
「窪みが浅いなら削ればいい」という解決策が、ネット上には出回っている。だが本記事では勧めない。理由は2つある。
- Arai は改造の痕跡があると交換修理を受けられない可能性がある(根拠1で引用したとおり)。内装だけなら帽体の加工には当たらないとしても、判断は自分で負うことになる
- SHOEI には Universal Com Holder という純正の答えがある。 削る前に、まず正規の部品を試すほうが筋がいい
厚みが不安なら、削るのではなく薄い機種を選ぶ。 それが最も確実で、後戻りもできる判断だ。
なお、SENA の公式アクセサリー一覧では、60S EVO や 50S に対応する薄型スピーカーの単品販売を確認できなかった(出典:SENA 全アクセサリー)。「あとから薄いスピーカーに交換すればいい」という前提は置かないほうがよい。
3機種のスペックと価格
ここまでの内容を、購入候補として整理する。
| 機種 | 価格(税込) | スピーカー厚み | 重量 | 通信方式 | 防水 | クランプ |
|---|---|---|---|---|---|---|
| SENA 60S EVO | 59,800円 | 9mm | 68g | Mesh 3.0/2.0(グループ最大24人)+Bluetooth 5.3(最大4人) | IPX7 | 2セット |
| SENA 50S | 56,980円 | 7.2mm | 64g | メッシュ+Bluetooth 5.0 | 公式に記載を確認できず | 1組 |
| SENA 5S | 25,080円 | 7.2mm | 48g | Bluetooth 5(メッシュの記載なし) | 公式に記載を確認できず | 1組 |
(出典:60S EVO 機能・仕様/60S EVO パッケージ/50S 機能・仕様/50S パッケージ/5S 機能・仕様/5S パッケージ。確認日 2026年8月2日)
防水について補足しておく。60S EVO は公式が IPX7 と明記しているが、50S・5S は公式の仕様ページに防水等級の記載を確認できなかった。これは「防水性能が無い」という意味ではなく、公式に等級の記載が見当たらないという事実にとどまる。雨天走行が多いなら、等級が明記されている 60S EVO のほうが判断材料は確かだ。
SENA のメッシュは、つながる人数と同時に話せる人数が別である点は補足しておきたい。グループメッシュは最大24人がつながるが、同時に発話できるのは6人までだ(出典:SENA 公式 +MESH とは)。人数の多さだけで上位機を選ぶ理由にはならない。
最新価格・在庫は各販売ページで確認するのが確実だ。
SENA 60S EVO シングルパック(1台)
SENA 60S EVO デュアルパック(2台セット)
SENA 50S(スピーカー厚み7.2mm・窪みが浅いヘルメット向け)
SENA 5S(48g・最も軽い/低予算向け)
\最大10万ポイント当たる/ SENA セナ 5S インカム [シングルパッケージ]
SHOEI Universal Com Holder(SHOEI の COMLINK 非対応機に付ける純正ホルダー・2,860円税込)については、当サイトで紹介できるアフィリエイトリンクを用意できていない。仕様と対応機種は SHOEI 公式ページ で確認のうえ、取り扱いのある販売店を当たってほしい。
規格と法令:インカムで関わるのは技適だけ
安全装備を扱うサイトとして、ここは明確にしておきたい。
インカムは、ヘルメット本体の安全規格(JIS=日本産業規格、PSC、SG など)の対象製品ではない。 ヘルメットが取得している規格が、インカムを付けたことで変わるわけではない。PSC は乗車用ヘルメットの国内販売に法的に必須の制度、SG は製品安全協会の任意規格で、いずれもインカムには適用されない。
インカムで関わる法令上の論点は、無線機としての技適(技術基準適合証明)だけである。国内で正規に流通している製品を選べば、この点は問題にならない。
一方で、帽体を加工した場合の扱いは規格とは別の話になる。根拠1で見たとおり、Arai は改造の痕跡があると交換修理を受けられない可能性を示している。規格ではなくメーカーの保証・修理条件の問題として、加工は避けるのが妥当だ。
ヘルメット別・予算別の選び方
自分の状況に当てはめて読んでほしい。
OGK KABUTO を使っている人 → 60S EVO を素直に
取付スペースとケーブルルートが最初から用意されているため、厚み9mm でも収まる余地がある。追加部品も要らない。予算が許すなら 60S EVO を選んでよい。
SHOEI の COMLINK 非対応機(Z-8・X-Fifteen・Glamster ほか)を使っている人 → 60S EVO + 純正ホルダー2,860円
インカム本体に加えて SHOEI Universal Com Holder を用意すると、インカムを取り付ける土台がヘルメット側にできる。合計で62,660円(60S EVO 59,800円+ホルダー2,860円)という計算になる。
ただし前述のとおり、このホルダーと 60S EVO の組み合わせについて SHOEI 公式は明示していない(公式の装着例は Cardo PACKTALK BOLD と SENA 50S)。心配なら 50S を選ぶか、購入店で確認してほしい。
取り付けは面ファスナーの粘着面を貼り直すと粘着力が落ちるため、位置決めを済ませてから貼るのが鉄則だ(公式の取扱説明書に明記されている)。
Z-8 そのものの評価は「SHOEI Z-8 レビュー」で扱っている。
Arai を使っている人 → 60S EVO。ただし窪みが浅ければ 50S
公式の案内がないぶん、加工を伴わない付け方が前提になる。60S EVO はクランプ式と貼り付け式の両方を持つため、この条件には合う。
ただし、耳まわりの窪みが浅いと感じるなら、厚み7.2mm の 50S のほうが現実的だ。2,820円の差で1.8mm 薄くなり、重量も4g 軽い。上位機を買って耳が痛くて使わなくなるより、確実に使えるほうがいい。
とにかく薄く・軽く・安く済ませたい人 → 5S
48g は 60S EVO より20g 軽く、スピーカーも7.2mm。価格も25,080円と半分以下だ。
ただし 5S の公式仕様に記載があるのは Bluetooth だけで、メッシュの記載はない(出典:5S 機能・仕様)。仲間との通話が Bluetooth 接続の範囲に限られる点は理解して選んでほしい。ソロ走行中心で音楽とナビが主目的なら、これで十分に足りる。
2台まとめて買う場合
夫婦・二人乗りで2台必要なら、デュアルパック(113,800円・税込)がシングル2台(119,600円)より5,800円安い。ただし割引率は4.8%で、機種によって割引の幅は大きく違う。 購入単位で迷うなら「インカムは2個セットで買うべきか」を参照してほしい。
向いている人・向いていない人
汎用インカム(60S EVO)が向いている人
- 専用ビルトインの対応表に自分のヘルメットが載っていない
- 気に入っているヘルメットを買い替えるつもりがない
- 将来ヘルメットを買い替えても、インカムは持ち越したい
- 複数のヘルメットで1台を付け替えて使いたい
- メッシュで大人数のツーリングに参加する
汎用インカムが向いていない人
- 外側に何も出っ張らせたくない(見た目を最優先する)
- 風切り音をできるだけ抑えたい
- COMLINK 対応ヘルメットを既に持っている(専用機のほうがきれいに収まる)
60S EVO ではなく 50S・5S を選ぶべき人
- イヤーパッドを外したときの窪みが浅い、または過去にスピーカーで耳が痛くなった経験がある
- 予算を5万円以下に抑えたい(5S なら25,080円)
- ヘルメットを軽く保ちたい(5S は48g)
「専用インカムでないと仲間と通話できない」というのは誤解だ。 誰と通話できるかは通信方式(メッシュか Bluetooth か、世代が合っているか)で決まるもので、ヘルメットへの装着方式とは別の話になる。専用機の利点は、あくまで収まりと見た目、そして風切り音にある。
取り付けでつまずく3点
1. 本体の位置決め──挟めなければ貼りに逃げる
まずクランプ式を試し、帽体の縁が厚い・形が合わないなど収まりが悪ければ、貼り付け式マウントに切り替える。両方入っているのだから、無理に挟もうとしないほうがいい。
貼り付け式は位置をやり直しにくいため、マスキングテープで仮止めして、実際にかぶってから位置を決めると失敗が減る。
SHOEI の Universal Com Holder を使う場合も同じだ。公式の取扱説明書は、シェルの凹凸が少ない平らな面に貼ること、粘着面は貼り直すと粘着力が低下すること、そしてシェルとライナーの間に差し込んだまま位置をずらすとフチゴムと塗装表面に傷が付く恐れがあることを注意点として挙げている。位置決めを済ませてから貼るという順序を守りたい。
2. マイクの選択──フルフェイスは有線、ジェットとシステムはブーム
フルフェイスにブームマイクを入れると、かぶるときにアームが顔に当たる。逆にジェットで有線マイクを使うと、風切り音を拾いやすい。ヘルメットの形に合わせて選ぶ。
3. 加工はしない
繰り返しになるが、帽体に穴を開ける・削るといった加工は勧めない。修理や保証の条件に触れる可能性があるうえ、元に戻せない。厚みが合わないなら、加工ではなく機種選びで解決する。
具体的な取り付け手順は、インカムメーカーの公式手順を参照するのが確実だ。SHOEI 公式も「インターコム本体の装着方法については、各インターコムメーカーへお問い合わせください」と案内している。
あなたのヘルメットは、本当に「非対応」か?
念のため確認しておきたい。専用インカムを選べるヘルメットだった場合、話は変わる。
SHOEI の場合、専用設計インカムを装着できる COMLINK 対応モデルは GT-Air 3・NEOTEC 3・J-Cruise 3 だ。これらを持っているなら、専用ビルトイン(Cardo 4X-S・B+COM SX1・SENA SRL3・Cardo PACKTALK-S)という選択肢がある。
- フルフェイスの GT-Air 3 → 「GT-Air 3 のインカムはどれ?」
- システムの NEOTEC 3 → 「NEOTEC 3 のインカムはどれ?」
- ジェットの J-Cruise 3 → 「J-Cruise 3 のインカムはどれ?」
Z-9 シリーズは扱いが少し違う。 SHOEI は Z-9 シリーズ用に「SHOEI COMLINKアダプター」(3,300円・税込)を別売している。名前が紛らわしいが、この部品は COMLINK 対応機に付けるものではなく Z-9 用だ。詳しくは「SHOEI COMLINK アダプター解説」で整理している。
なお、SHOEI Z-8 の製品ページに COMLINK に関する記述は見当たらない(出典:SHOEI Z-8 製品ページ)。Universal Com Holder の対応リストに Z-8 が入っていることと合わせると、Z-8 は汎用インカムを使う側のヘルメットだと考えてよい。
よくある質問(FAQ)
Q. 汎用インカムだと、仲間と通話できない?
できる。通話できるかどうかは通信方式(メッシュか Bluetooth か、メッシュの世代が合っているか)で決まる話で、ヘルメットへの装着方式とは無関係だ。専用ビルトイン機と汎用機のあいだでも、通信方式が合っていれば通話できる。
Q. 両面テープでヘルメットが傷まない?保証はどうなる?
貼り付け式マウントは帽体の外側に貼るもので、穴を開ける加工ではない。ただし、塗装面への影響やメーカーの保証条件はメーカーごとに扱いが異なる。とくに Arai は「穴あけ等の改造や転倒による痕跡がなければ」交換修理を承ると案内しているため、加工に当たる作業は避けるのが安全だ。判断に迷うときは購入店に相談してほしい。
Q. 60S EVO と 50S、どちらを買うべき?
耳まわりの窪みが浅いなら 50S、そうでなければ 60S EVO というのが本記事の答えだ。価格差は2,820円で小さく、スピーカーは 50S のほうが1.8mm 薄い。一方で 60S EVO は Bluetooth 5.3・IPX7・Mesh 3.0 と中身が新しい。2機種の中身の違いは「SENA 60S EVO vs 50S」で詳しく比べている。
Q. スピーカーだけ薄いものに交換できる?
SENA の公式アクセサリー一覧では、60S EVO・50S に対応する薄型スピーカーの単品販売を確認できなかった。 「あとから交換すればいい」という前提は置かないほうがよい。厚みが心配なら、最初から薄い機種を選ぶのが確実だ。
Q. SHOEI Universal Com Holder は SENA でも使える?
SHOEI 公式ページの装着例には Cardo PACKTALK BOLD と SENA 50S が挙がっている。 公式の取扱説明書も「お手持ちのインターコムのコードの取り回しを必ず確認してください」と汎用機を前提にした書き方をしている。ただし公式は「インターコム本体の装着方法については、各インターコムメーカーへお問い合わせください」とも案内しており、60S EVO との組み合わせについては明示がない。購入前に販売店で確認してほしい。
Q. Universal Com Holder は、インカムを使わない日は外していい?
外さないほうがよい。 SHOEI 公式の取扱説明書には「一度ヘルメットへUniversal Com Holderを取り付けたら、インターコムを取り付けない場合であってもUniversal Com Holderをヘルメットに取り付けたまま使用してください」と明記されている。外した状態で使うと、面ファスナーの表面に汚れやホコリが付いて保持力が低下する恐れがあるためだ。外したいのはインカム本体だけ、と考えておけばよい。
Q. インカムを付けると、ヘルメットの安全規格に影響する?
インカムはヘルメット本体の安全規格(JIS・PSC など)の対象製品ではない。ヘルメットが取得している規格が、インカムを付けたことで変わるわけではない。インカムで関わる法令上の論点は技適だけだ。ただし帽体を加工した場合は、規格とは別にメーカーの保証・修理条件に影響する可能性がある。
Q. 取り付けは自分でできる?
チークパッドやイヤーパッドを外して、スピーカーをベルクロで固定し、本体をクランプまたは貼り付けで留める作業になる。工具はほとんど要らない。ただし位置決めは一度で決まらないことが多いので、時間に余裕のあるときに作業してほしい。不安があれば購入店に相談するのが確実だ。
まとめ
- 専用インカムが無いヘルメットでも、汎用インカムは問題なく付く。 むしろ選べる機種は専用機より多い
- ヘルメット側の備えはメーカーで3通り──SHOEI は純正ホルダー(2,860円)を別売、OGK KABUTO は本体に取付スペースを作り込み、Arai は公式に案内がない
- 汎用インカムは、挟む方式と貼る方式、ブームマイクと有線マイクを両方同梱して出荷される。 帽体の形に合わせて取り付け方を選べるのは、専用機には無い強みだ
- 本命は SENA 60S EVO(59,800円)。 クランプキットが2セット入っており、2つのヘルメットに付け替えて使えるのが決め手になる
- 本当の関門はスピーカーの厚み。 60S EVO の9mm は SENA の現行機で最も厚く、上位機ほど厚いという逆転が起きている
- 窪みが浅いなら、あえて 50S(7.2mm)や 5S(7.2mm・48g)を選ぶほうが満足度は高い
専用インカムの対応表に自分のヘルメットが載っていなかったからといって、諦める必要はない。メーカー各社は、汎用インカムを付けることをそれぞれのやり方で織り込んでいる。 SHOEI にいたっては、そのための部品を純正で用意しているほどだ。
まず自分のヘルメットのイヤーパッドを外して、耳まわりの窪みがどれくらいあるかを見てほしい。 そこが、機種選びのいちばん確かな手がかりになる。
SENA 60S EVO シングルパック(1台)
SENA 60S EVO デュアルパック(2台セット)
SENA 50S(スピーカー厚み7.2mm)
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出典・参考記事
- SHOEI 公式 Universal Com Holder(対応14シリーズ・JAN・公式の案内文)
- SHOEI 公式 Universal Com Holderの取り付け方(PDF・取り付け手順と警告7項目)
- SHOEI 公式 オプション&リペアパーツ一覧(Universal Com Holder 2,860円・COMLINKアダプター 3,300円・SRLアダプター 2,200円)
- SHOEI Gallery Online Store(Universal Com Holder の価格・在庫状況)
- SHOEI Z-8 製品ページ(COMLINK の記載なし・価格・JIS)
- OGK KABUTO KAMUI-5 製品特徴・仕様(インカム/カメラ用の専用取付スペースとケーブルルート)
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- SENA 60S EVO 製品ページ(2セットのユニバーサルクランプキット・IPX7)
- SENA 60S EVO 機能・仕様(スピーカー40mm 厚み9mm/68g/Mesh 3.0・2.0/Bluetooth 5.3/IPX7)
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- SENA 全アクセサリー一覧
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※価格・スペック・対応機種は取得時点(2026年8月)の参考値。最新情報は各公式・販売店で確認のこと。

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