【hit-air MX-9】胸部プロテクターは別売|対応5種をCE規格で比較して選ぶ

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【hit-air MX-9】胸部プロテクターは別売|対応5種をCE規格で比較して選ぶ

【hit-air MX-9】胸部プロテクターは別売|対応5種をCE規格で比較して選ぶ

 

ヘルメットは時間をかけて選んだのに、胸には何も入れていない――そんな装備になっていないだろうか。

警視庁が2025年7〜8月に都内で3,344人の二輪車利用者を調べたところ、胸部プロテクターの着用率は9.9%だった。10人に1人しか着けていない。しかも着けない理由の最多は「値段が高いから」ではなく「着用が面倒だから」である。

その「面倒」を構造から外せるのが、着るだけで胸まで守れるエアバッグジャケットだ。hit-air(ヒットエアー)の MX-9 はその代表格にあたる。ただし、ここに落とし穴がある。MX-9 は肩・肘・背中にプロテクターを標準装備しているが、胸部パッドは付属していない。 別売のオプションだ。

この記事では、MX-9 に実際に装着できる胸部パッド5種を公式ラインアップから洗い出し、CE規格の表記・価格・重量で比較する。結論から言えば、選択肢は5つあるように見えて、規格の書かれ方を見ると1つに絞れる。

※本記事はアフィリエイト広告(PR)を含みます。商品リンクから購入された場合、売上の一部が当サイトに還元されることがあります。評価・紹介内容は公式スペックと第三者レビューに基づく独自の調査によるもので、報酬の有無で内容を変えていません。

結論

  • hit-air MX-9 は約64,900円(税込・メーカー公式価格/2026年10月3日確認)のエアバッグメッシュジャケット。標準装備は肩肘の CE(EN1621-1)パッドと背中のソフト脊髄パッドまでで、胸部パッドは別売。
  • MX-9 の公式ページが対応品番として挙げる胸部パッドは5種類ある。このうち CE EN1621-3:2018 の Level2 をレベルまで明記しているのは「CE胸部パッドASC」だけ(約5,940円・税込)。
  • 最も高い SPIDI 胸部パッド Z173(約9,350円・税込)は、公式の規格表記が「prEN1621-3:2011」という正式版になる前の草案番号である。価格が高いほど規格が上、という関係にはなっていない。
  • したがって「MX-9 を買うなら、同時に CE胸部パッドASC を足す」が基本の組み合わせになる。合計で約70,840円(税込)。
  • 価格は hit-air が2026年10月1日に改定した後の値だ。ASC は4,950円→5,940円、HC胸部パッドは4,950円→6,380円(いずれも税込)に上がり、9月まで同額だった2つは HC のほうが440円高くなった。

hit-air MX-9 エアバッグメッシュジャケット

hit-air MX-9 エアバッグメッシュジャケット

hit-air CE胸部パッドASC

hit-air CE胸部パッドASC

「エアバッグがあれば胸部プロテクターは要らない」は本当か

エアバッグジャケットを検討して最初に浮かぶ疑問がこれだ。胸まで膨らむなら、硬いパッドは重複ではないのか。

まず hit-air のエアバッグが何をするかを整理する。公式のシステム説明によれば、ライダーが車体から一定の距離を離れた瞬間にキーボール(作動ピン)がキーボックスから抜け、カートリッジボンベの炭酸ガスが首気室・背中気室・胸気室・脇気室・尻気室へ送り込まれる。膨らんだ気室が首・背中・胸・臀部などを保護し、衝撃を緩和する仕組みだ。

ただし、これは hit-air のエアバッグ全体に共通する説明である。気室の配置はモデルごとに異なり、MX-9 の構造は公式に「首気室カバー型(キーボックス背面気室+尻気室収納型)キーボックスB型」と表記されている。MX-9 の製品ページに「胸気室」の記載はない。 胸部の気室構成がどうなっているかは公式ページからは確認できなかった。

そのうえで、エアバッグと硬質パッドは役割が違う。エアバッグは広い面で受け止めて衝撃を分散する装置である。一方、硬質の胸部パッドは一点に集中する打撃を止めるものだ。バイクの事故ではハンドルや対向車のピラーなど、突起した硬いものが胸に当たる。

そして決定的なのは、hit-air 自身が MX-9 に胸部パッド装着用のベルクロ(面ファスナー)を用意しているという事実だ。MX-9 の公式ページには「オプションプロテクター」として胸部パッドの品番が5つ並んでいる。メーカーは最初から「エアバッグ+硬質パッド」の併用を想定して設計している。

もう一点、正直に書いておくべきことがある。hit-air のエアバッグはワイヤー(機械式)で作動する。 転倒を検知するセンサーが入っているわけではない。乗車前に車体側のコネクタと衣服側のコネクタを接続しておく必要があり、公式によればキーボールが抜けるには約30kgの張力がかかる。接続を忘れれば作動しない。エアバッグは万能な保護装置ではなく、正しく使って初めて機能する装備だ。

販売店の商品説明に「センサーで転倒を検知する」といった記述が見られることがあるが、hit-air 公式が説明している MX-9 の作動方式はワイヤー式である。

「胸部プロテクターは面倒で続かない」は本当か

冒頭で触れたとおり、警視庁の調査では胸部プロテクターの非着用理由の最多は「着用が面倒」だった。値段ではない。

ここがエアバッグジャケットの利点になる。胸部パッドを単体で買うと、ベストやハーネスを別に着る、あるいはジャケットのポケットに入れる、という手間が毎回発生する。MX-9 の場合、胸部パッドはジャケット内側のベルクロに一度貼り付ければそのままだ。あとはジャケットを着るだけで、肩・肘・背中・胸のプロテクターとエアバッグが同時に身につく。

「面倒だから着けない」という現実的な理由に対しては、意志ではなく構造で対処するほうが続く。

MX-9 に胸部パッドを足すと得られること

MX-9 に胸部パッドを1枚足すことで得られる価値は、大きく3つに整理できる。

  1. ヘルメットの次に空いている部位が埋まる。 二輪車の死亡事故で致命傷になる部位は、頭部に次いで胸部が多い。ヘルメットで頭を守った次の一手として、根拠のある場所に投資できる。
  2. 5つの候補から、根拠を持って1つを選べる。 「なんとなく高いもの」「なんとなく軽いもの」ではなく、CE規格の表記という共通のものさしで比較して決められる。
  3. 1回の作動で買い替えにならず、総額が読める。 エアバッグが開いても、ボンベを交換すれば繰り返し使える。維持費が事前に分かる。

以下、この3つをそれぞれ裏付けていく。

裏付け①:胸部は実際に「空いている」部位なのか

警視庁の統計を見る。2025年、都内の二輪車乗車中の死者は35人(前年比−3人)で、全交通事故死者134人の26.1%を占めた。致命傷となった部位は頭部が19人・54.3%で最多である。

ただし、ここは慎重に読む必要がある。2025年単年は「胸部が減り、頭部が増えた」年だった。単年の数字だけを切り取って胸部の危険を強調するのは誠実ではない。

より安定した数字として、警視庁は過去5年平均も示している。頭部43.2%・胸部29.2%。5年をならすと、致命傷部位のおよそ3割が胸部ということになる。頭部に次ぐ第2位という位置づけは、年による増減があっても動いていない。

そして着用率は9.9%(2025年7〜8月・都内3,344人)。頭部はヘルメットの着用義務によってほぼ全員が守られているのに対し、致命傷部位の3割を占める胸部は10人に1人しか守っていない。この非対称が「空白」の中身だ。

もう一つ付け加えると、都内で2025年に亡くなった二輪車乗車中の人の通行目的は、出勤・退勤の合計が54.3%で最多だった。装備を省きたくなるのは近距離の通勤時だが、統計上はそこが最も多い。

裏付け②:MX-9 の標準装備はどこまでか

MX-9 の公式スペックによれば、標準で装備されるプロテクターは次の2か所である。

  • 肩・肘:「CE(EN1621-1)規格の軽量型 HEXA パッド」
  • 背中:ソフト脊髄パッド

胸部は含まれていない。付属品として挙げられているのも、伸縮ワイヤー・CO2ボンベ50cc・CE肩肘パッド・脊髄ソフトパッド・取扱説明書・工具セットであり、胸部パッドは入っていない。

つまり MX-9 を買っただけの状態では、胸を守るのはエアバッグの気室だけということになる。前述のとおりメーカー自身が併用を前提に装着用ベルクロを用意しているのだから、ここは別売パッドで埋めるのが設計どおりの使い方だ。

裏付け③:規格の表記は製品ごとに割れている

ここが本記事の核心にあたる。

胸部プロテクターの CE 規格は EN1621-3 という番号で、レベル1とレベル2がある。ところが hit-air の公式ページを製品ごとに読むと、同じメーカーの同じ用途の製品でありながら、規格の書かれ方が5通りに割れている。

  • CE胸部パッドASC:「CE EN1621-3:2018 Level2」。規格の発行年もレベルも明記されている。
  • HC胸部パッド:「CE規格《EN1621-3:2018》をクリア」。加えて「JMCA全国二輪車用品連合会 胸部プロテクター 推奨規格取得 レベル1」。CE のレベルは記載されていない(レベル1は JMCA 側の推奨規格の区分であって、CE のレベル表記ではない)。
  • SPIDI 胸部パッド Z173:「prEN1621-3:2011」。頭の「pr」は prEN、つまり正式発行前の草案(draft)を指す番号である。
  • 一体型胸部パッド2:CE規格の記載なし。
  • セパレート型胸部パッド:CE規格の記載なし。

つまり、CE のレベルまで公表しているのは ASC の Level2 だけということになる。HC も同じ EN1621-3:2018 をクリアしているが、レベルは公表されていない。

価格を並べると逆転が見える。最も高い SPIDI Z173(約9,350円・税込)が草案番号の表記で、CE のレベルまで明記されている ASC(約5,940円・税込)は5種のうち安いほうから3番目だ。「高いほうが安全だろう」という直感は、ここでは成り立たない。

規格の優劣を断定するつもりはない。CE 記載のない製品が保護しないという意味でもない。ただ、第三者機関の試験を経て「どのレベルに適合したか」を公表しているかどうかは、買う側が確認できる数少ない客観的な手がかりだ。その手がかりが最もはっきりしているのが ASC である。

裏付け④:1回の作動で終わりにならない

「一度開いたら買い替えでは」という不安は、エアバッグジャケットを敬遠する理由としてよく挙がる。

hit-air の場合、答えは明確だ。公式は「エアバッグが展開しても繰り返し使用できます」としており、衣服に破損がなければカートリッジボンベを交換するだけで復帰する。交換は購入時に付属する工具セット(セッティングボルト・六角レンチ)で自分で行える。

そのボンベは約1,320円(税込・2026年8月26日時点)。保管については「半永久的に保存可能ですが、サビ・腐食等が見受けられる際は交換して下さい」と案内されている。内容積100ml以下のため高圧ガス保安法の適用除外品にあたる。

6万円台のジャケットで、作動時の復帰コストが1,320円。総額が読める買い物になっている。

ただし、「買ったあとはボンベ代だけ」という装備ではないことも同時に押さえておきたい。公式は、エアバッグ製品の平均的な使用年数を「パーツ交換なしの状態で5年前後」と案内している(公式FAQ)。製品マニュアルは「年に一回程度(3年に一度は必ず)の定期点検・メンテナンスチェックを受けてください」と求めており、点検料は公式アフターサービスによれば通常4,400円(税込)だ。ただしhit-air CARD にユーザー登録すれば、登録後3年間の点検は無料になる。さらに車体側とつなぐ伸縮ワイヤーは消耗品で、公式マニュアルは「1〜2年で新しいものにお取り替えすることをおすすめします」としている(交換用 約1,760円・税込)。メーカー保証は購入から1年間である。

点検料は公式サイト内で表記が2つある。アフターサービスのページは「4,400円(税込)」、製品マニュアルのページは「通常4,000円」だ。税抜4,000円=税込4,400円と読むのが自然だが公式は明示していないため、本記事では高いほう(4,400円・税込)を採る。

つまり正確には、「作動しても1,320円で復帰できる。ただし維持には年単位の費用と手間がかかる」。この5年ぶんを積み上げるといくらになるかは、【hit-air MX-9 レビュー】5年でいくらかかるのかで計算した。本記事が「胸部パッドをどれにするか」を扱うのに対し、あちらは本体を5年使い続ける総額と手間を扱っている。

hit-air MX-9 の基本スペック

ここまでの内容を、公式スペックで一覧にする。

項目 内容
製品名 hit-air MX-9 エアバッグメッシュジャケット(エアバッグ装備)
価格 約64,900円(税込・本体59,000円/メーカー公式・2026年8月26日時点)
カラー ダークグレー・ブラック・ライトグレー
サイズ M・L・XL・2XL・3XL・4XL
重量 約2kg(Lサイズ)
表地 ナイロン・ポリエステル
裏地 メッシュ(ポリエステル)
エアバッグチューブ ポリウレタン
使用ボンベ CO2 50cc
標準プロテクター 肩肘=CE(EN1621-1)軽量型 HEXA パッド/背中=ソフト脊髄パッド
胸部パッド 別売(装着用ベルクロは標準装備)
エアバッグ構造 首気室カバー型(キーボックス背面気室+尻気室収納型)キーボックスB型
付属品 伸縮ワイヤー・CO2ボンベ50cc・CE肩肘パッド・脊髄ソフトパッド・取扱説明書・工具セット
転用システム 対応(HDS・MX-9・HDS-MS・EU-7・FV)

最新価格・在庫は販売ページで確認できる。

hit-air MX-9 エアバッグメッシュジャケット

使用者の声(別モデルの参考として)

MX-9 そのものの長期使用レポートは多くない。参考として、同じ hit-air のベスト型モデル MLV-C を実際に使ったレビューを引く。「右側にボンベなどを含む『キーボックス』が内蔵されているため、左右のバランスが悪いのは残念なところ」との指摘がある(出典:日々のつぶやき)。

MX-9 も同じキーボックスB型を採用しているため、重量物が片側に寄る構造は共通する。ただしMLV-C はベスト型で MX-9 はジャケット型であり、重量も装備も異なる(MLV-C の記事中の重量は1.15kg、MX-9 の公式重量はLサイズで約2kg)。同一の使用感として読むべきではない。重さの偏りが気になるなら、公式に記載された重量を目安に判断したい。

MX-9 に付けられる胸部パッドは5種類

MX-9 の公式ページが対応品番として挙げている胸部パッドを一覧にする。価格はいずれもメーカー公式の税込価格(2026年10月1日の改定後・10月3日確認)。

製品 価格(税込) 改定前(〜9月30日) CE規格の表記 サイズ 重量 形状・材質
CE胸部パッドASC 約5,940円 約4,950円 CE EN1621-3:2018 Level2 W160×H226×厚み17mm 300g(2枚) セパレート/ポリエチレン+ポリエステル
HC胸部パッド 約6,380円 約4,950円 CE規格《EN1621-3:2018》をクリア(CEのレベル記載なし)+JMCA 推奨規格 レベル1 W275×H226mm 190g セパレート・ハニカム構造/ポリプロピレン+EVA
SPIDI 胸部パッド Z173 約9,350円 改定なし prEN1621-3:2011(草案番号) W270×H230mm 158g ポリプロピレン+ポリエチレン/AIR循環構造
一体型胸部パッド2 約4,180円 改定なし 記載なし W260×H270mm 270g 一体型・中空構造/ポリプロピレン
セパレート型胸部パッド 約3,300円 改定なし 記載なし W120×H220mm 150g(2枚) セパレート・中空構造/ポリプロピレン

基準にするなら CE胸部パッドASC

前述のとおり、CE のレベル(Level2)まで明記しているのは ASC だけである。ASC の製品ページには MX-9 への装着例も掲載されている。

重量は2枚で300g と、この表の中では重いほうだ。厚みも17mm ある。軽さと引き換えに、規格上の裏づけがはっきりしている――そういう選択になる。

hit-air CE胸部パッドASC

軽さを優先するなら HC胸部パッド

190g は ASC の約6割で、この表の中でも軽い部類に入る。ハニカム構造で胸部への衝撃を分散する設計だ。CE 規格は ASC と同じ EN1621-3:2018 をクリアしており、加えて JMCA(全国二輪車用品連合会)の胸部プロテクター推奨規格 レベル1 を取得している。

ただし2点、判断材料として押さえておきたい。ひとつは CE のレベルが公式に記載されていないこと(JMCA のレベル1は別の枠組みの区分で、CE の Level1 と同じ意味ではない)。もうひとつは価格だ。2026年10月1日の改定で、HC は約6,380円になり ASC(約5,940円)より440円高くなった。 9月までは同額の4,950円だったので、いまは軽さを取るぶん少し多く払う形になる。

hit-air HC胸部パッド(Amazonで見る)

取り付け時の注意

hit-air は ASC の製品ページで次のように案内している。「モデルによって胸部パッド装着用ベルクロの間隔が狭いものがあり、ベルクロに合わせて装着すると中心が重なってしまう場合があります。その場合は、パッドをずらして中心が重ならない様に装着」。

セパレート型(左右2枚)のパッドは、ベルクロの位置どおりに貼ると中央で重なることがある。届いたら一度当ててみて、重なるようならずらして貼る。

この記事のパッド選定が当てはまるのは MX-9 の場合だ。 ASC の公式製品ページに載っている装着例は MLV2-P と MX-9 の2つだけで、同じ hit-air でも HDS・HDS-MS・EU-7 への装着例は示されていない(2026年9月6日に公式ページで確認)。hit-air のジャケットは MX-9 のほかに HDS・HDS-MS・EU-7 があり(→ hit-air ジャケット|MX-9・HDS・EU-7 をどう組むか)、別モデルに同じパッドを流用できるかは公式に確認できない。

背中も替えられる:MX-9 対応の脊髄パッド

MX-9 の背中は標準では「ソフト脊髄パッド」だ。公式ページは「オプションプロテクター」として次の5種を挙げている。

製品 価格(税込) 改定前(〜9月30日) CE規格の表記 サイズ 重量
CE脊髄パッドYM 約3,300円 約2,860円 EN1621-2:Level-2 ― ―
脊髄パッドLW3 約3,520円 改定なし 記載なし W255×H390mm 115g
CE脊髄パッドYM-CV 約5,940円 約4,840円 EN1621-2:Lv.2 W255×H395×厚み18mm 430g
SPIDI 脊髄パッド Z172 約8,800円 ― ― ― ―
SPIDI 脊髄パッド Z147 約14,300円 改定なし ― ― ―

胸部と同じ考え方で選ぶなら、CE規格のレベルまで明記されている CE脊髄パッドYM(約3,300円)または CE脊髄パッドYM-CV(約5,940円) が候補になる。YM-CV はベルクロ装着式で、ジャケット背面のメス側ベルクロに貼り付ける。

なお表の「脊髄パッドLW3」は、MX-9 の公式オプション表記では「脊髄パッドLW」となっている。現行ラインアップの製品名は LW3 だ。

hit-air CE脊髄パッドYM-CV

なお hit-air は2026年10月中旬に新製品「CE脊髄パッドLD」(約4,180円・税込/EN1621-2 Level-1)を発売すると告知している。軽量で柔軟な衝撃吸収材を使うとされる。

規格の見方を整理する

ここまで複数の規格番号が出てきたので、対応部位ごとに整理しておく。いずれも EN(欧州規格)に基づく CE 適合の表示だ。

規格番号 対象部位 MX-9 での位置づけ
EN1621-1 肩・肘などの関節用プロテクター 標準装備の HEXA パッドが該当
EN1621-2 脊髄(背中)用プロテクター 標準の背中パッドは記載なし。CE脊髄パッドYM/YM-CV が該当
EN1621-3 胸部用プロテクター 別売。ASC が Level2 を明記

レベル1とレベル2は、試験時に伝わる衝撃力の上限が異なる区分で、レベル2のほうが厳しい条件を満たしている。ただしレベルが高ければあらゆる事故で安全、という意味ではない。規格は特定の試験条件下での性能を示すものだ。

もう一点、混同しやすいので分けておく。HC胸部パッドに表示されている「JMCA 胸部プロテクター 推奨規格取得 レベル1」は、JMCA(全国二輪車用品連合会)が定める胸部プロテクターの推奨規格に基づくもので、CE規格とは別の枠組みである。JMCA のレベル1と CE の Level1 は同じ意味ではない。

価格・サイズ・購入方法

サイズの選び方

MX-9 の公式適応サイズは次のとおり。エアバッグは上衣として着るものなので、公式は「サイズの合ったものを着用」するよう案内している。

サイズ 身長 胸囲 ウエスト
M 160〜175cm 86〜96cm 72〜80cm
L 165〜180cm 95〜105cm 78〜86cm
XL 170〜185cm 100〜110cm 84〜92cm
2XL 175〜190cm 105〜115cm 90〜98cm
3XL 180〜195cm 110〜120cm 96〜104cm
4XL 180〜195cm 115〜125cm 102〜110cm

胸部パッドを内側に入れることになるので、胸囲がサイズ境界にかかる場合は余裕のある側を選ぶほうが無難だ。

2026年10月1日の価格改定

hit-air は製造コストの上昇等を理由に、2026年10月1日にプロテクター類の価格を改定した(10月3日に各製品ページで改定後の価格を確認)。改定幅は製品ごとに異なる。

製品 改定前(税込) 改定後(税込)
CE胸部パッドASC 約4,950円 約5,940円
HC胸部パッド 約4,950円 約6,380円
CE脊髄パッドYM-CV 約4,840円 約5,940円
CE脊髄パッドYM 約2,860円 約3,300円
ハーネス専用サイドパッド 約5,280円 約5,940円

ジャケット本体(MX-9 など)はこの改定の対象に含まれておらず、MX-9 は改定後も約64,900円のままだ(2026年10月3日確認)。

エアバッグを冬用ジャケットに移せる

MX-9 はメッシュジャケットなので、そのままでは暑い時期の装備になる。ただし hit-air には「エアバッグインナー転用システム」があり、エアバッグ本体を脱着して対応する別のジャケットに付け替えられる。対応モデルは HDS・MX-9・HDS-MS・EU-7・FV。

価格の構造を見ると意味が分かりやすい。MX-9 はエアバッグ装備版が約64,900円、ジャケット単体版(エアバッグなし)が約38,500円。差額の約26,400円がエアバッグ本体分にあたる。装備版を1着買っておけば、季節ごとにジャケット単体版を買い足して同じエアバッグを使い回せる。

ボンベは「50cc」と「S-50cc」を間違えない

作動後の交換用ボンベを買うときに注意が必要だ。hit-air には 50cc と S-50cc という別商品があり、ネジ径が違う。 S-50cc はキーボックスY型・OS モデル用で、MX-9 が採用するキーボックスB型には対応しない。しかもどちらも約1,320円(税込)で名前もよく似ている。60cc も別商品だ。

MX-9 に使うのはキーボックスB型用の「50cc」。公式は交換用ボンベのサイズ対応表を公開しているので、購入前に自分のモデルを確認してほしい。

hit-air 交換用カートリッジボンベ 50cc(キーボックスB型用)(Amazonで見る)

向いている人・向いていない人

向いている人

  • ヘルメットに納得のいく投資をして、次に胴体を守りたい人
  • 胸部プロテクターを買ったが「面倒で着けなくなった」経験がある人
  • 通勤で毎日乗る人(統計上、死亡事故の通行目的として最も多い)
  • 転倒後も装備を使い続けたい人(約1,320円のボンベ交換で復帰できる。ただし年1回程度の点検とワイヤー交換は別途かかる)
  • 夏だけでなく通年で使いたい人(転用システムで冬用に移せる)

向いていない人

  • 装備の軽さを最優先する人。MX-9 はLサイズで約2kg あり、メッシュジャケット単体より重い
  • 乗車のたびにワイヤーを接続する手順を煩わしく感じる人。接続しなければエアバッグは作動しない
  • サーキット走行が主目的の人。hit-air にはレース向けの別系統モデルがある
  • すでに別方式(センサー式・電子制御式)のエアバッグウェアを使っている人
  • 買ったあとに費用も手間もかけたくない人。公式は年1回程度(3年に一度は必ず)の定期点検を求めており、伸縮ワイヤーも1〜2年での交換が推奨されている

MX-9 と他モデルの使い分け

hit-air のエアバッグインナー転用システム対応モデルには、MX-9 のほかに HDS・HDS-MS・EU-7・FV がある。おおまかな違いは次のとおり。

  • MX-9:メッシュのエアバッグジャケット。暑い時期向け。装備版 約64,900円/単体版 約38,500円
  • HDS:フーデッド(フード付き)エアバッグジャケット。装備版 約63,800円/単体版 約37,400円
  • HDS-MS:HDS のメッシュ版。装備版 約63,800円/単体版 約37,400円
  • EU-7:装備版 約79,200円/単体版 約52,800円

いずれもエアバッグ本体を共有できるので、「装備版を1着+単体版を1着」という買い方で通年をカバーできる。

そもそも hit-air 以外も含めて選び直したい場合は、バイク用ジャケット おすすめ5選|胸部プロテクターまで込みの総額で選ぶを見てほしい。コミネ・デイトナ・RSタイチ・alpinestars・hit-air の5着を横断して「胸部が標準装備か別売か」で並べ直した記事だ。本記事は MX-9 に決めた人が対応パッド5種から1つ選ぶ段階を扱っているので、その1つ手前の比較にあたる。

そもそも胸部を買い足さずに済むジャケットもある。 コミネの JK-1623(夏・16,489円)と JK-641(秋冬・22,000円)は、公式が胸部プロテクターを標準装備と明記しており、2着揃えても胸部の追加費用は0円だ(→ コミネ JK-1623・JK-641 レビュー)。本記事のように「どのパッドを足すか」を考える必要がない代わりに、パッドを自分で選べない——どちらの構えを取るかという違いになる。なお、その2着も背中はEVAパッドで、脊髄のCE規格プロテクターは付いていない。

なお、胸部の保護という観点ではヘルメット選びとセットで考えたい。当サイトのヘルメット記事もあわせて参照してほしい。

よくある質問

Q. エアバッグが開いたら買い替えになりますか。

いいえ。hit-air は「エアバッグが展開しても繰り返し使用できます」としており、衣服に破損がなければカートリッジボンベの交換で復帰できる。交換は付属の工具セット(セッティングボルト・六角レンチ)で行える。ボンベは約1,320円(税込)。ただし復帰費用が1,320円というだけで、維持費が0円という意味ではない(次の質問)。

Q. 買ったあとにかかるのはボンベ代だけですか。

いいえ。公式マニュアルは「年に一回程度(3年に一度は必ず)の定期点検・メンテナンスチェック」を求めており、点検料は通常4,400円(税込・hit-air CARD にユーザー登録すれば登録後3年間は無料)。伸縮ワイヤーも「1〜2年で新しいものにお取り替えすることをおすすめします」とされる消耗品で、交換用は約1,760円(税込)だ。公式FAQ はエアバッグ製品の平均的な使用年数を「パーツ交換なしの状態で5年前後」とも案内している。5年ぶんを積み上げた金額はMX-9 レビューで計算した。

Q. ボンベに使用期限はありますか。

公式は「半永久的に保存可能ですが、サビ・腐食等が見受けられる際は交換して下さい」と案内している。期限による定期交換ではなく、状態を見て判断する運用になる。

Q. 50cc と S-50cc は同じものですか。

違う。ネジ径が異なる別商品で、S-50cc はキーボックスY型・OS モデル用だ。MX-9(キーボックスB型)に使うのは「50cc」のほう。価格が同じで名前も似ているため、購入時は公式の対応表で確認してほしい。

Q. ワイヤーを接続し忘れたらどうなりますか。

作動しない。hit-air のエアバッグは車体側と衣服側のコネクタをつなぐワイヤー式で、キーボールが抜けることで起動する。センサーで転倒を検知する方式ではないため、乗車前の接続が前提になる。

Q. 走行中に勝手に開いてしまいませんか。

公式によれば、キーボールが抜けるには約30kgの張力が必要とされる。通常の乗車動作で抜ける設計ではない。ただし、立ちゴケなどでこの張力を超えれば作動しうる。

Q. 胸部パッドは他社のジャケットにも使えますか。

hit-air の胸部パッドはベルクロ(オス側)で hit-air 側のメス側ベルクロに装着する仕様だ。ベルクロの位置が合えば物理的には装着できるが、モデルによって間隔が異なるため、公式が対応をうたっていない組み合わせは推奨できない。

Q. メッシュなので夏でも快適ですか。

MX-9 の表地はナイロン・ポリエステル、裏地はメッシュ(ポリエステル)と公式に記載されている。ただし体感の涼しさは走行条件や個人差が大きく、エアバッグ本体を内蔵するぶん一般的なメッシュジャケットとは構造が異なる。断定は避けたい。公式の素材表記と第三者レビューをあわせて判断してほしい。

Q. CE胸部パッドASC はどこで買えますか。

hit-air 公式オンラインショップのほか、バイク用品店の通販でも取り扱いがある。本記事では楽天市場(ウェビック楽天市場店)のページを案内している。

まとめ

  • hit-air MX-9 は約64,900円(税込)のエアバッグメッシュジャケット。標準装備は肩肘の CE(EN1621-1)パッドと背中のソフト脊髄パッドまでで、胸部パッドは別売である。
  • MX-9 に装着できる胸部パッドは公式ページ記載で5種類。CE EN1621-3:2018 の Level2 をレベルまで明記しているのは CE胸部パッドASC だけで、最も高い SPIDI Z173 は草案番号(prEN1621-3:2011)の表記だった。価格の高さと規格表記の強さは一致しない。
  • 都内の統計では、二輪車乗車中の致命傷部位は過去5年平均で頭部43.2%・胸部29.2%。一方で胸部プロテクターの着用率は9.9%にとどまる。ヘルメットの次に手を入れる場所として根拠がある。
  • エアバッグが作動しても約1,320円のボンベ交換で復帰できる。エアバッグ本体は転用システムで別のジャケットに移せる。ただし買い切りの装備ではない——公式は使用年数の目安を「パーツ交換なしで5年前後」とし、年1回程度の定期点検(通常4,400円・税込/hit-air CARD 登録後3年間は無料)と、1〜2年ごとの伸縮ワイヤー交換(約1,760円・税込)を案内している。5年ぶんの総額はMX-9 レビューにまとめた。
  • 迷ったら「MX-9 + CE胸部パッドASC」。 合計で約70,840円(税込・2026年10月1日の改定後)。

hit-air MX-9 エアバッグメッシュジャケット

hit-air MX-9 エアバッグメッシュジャケット

hit-air CE胸部パッドASC

hit-air CE胸部パッドASC

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出典・参考記事

一次情報(公式)

統計

第三者レビュー

※価格・スペック・対応は取得時点(2026年8月26日)の参考値。最新情報は各公式・販売ページで確認のこと。

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