【SENA 買い替えガイド】20S・30K・50S から 60S EVO へ|替えるべき人と、今のままでいい人

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【SENA 買い替えガイド】20S・30K・50S から 60S EVO へ|替えるべき人と、今のままでいい人

【SENA 買い替えガイド】20S・30K・50S から 60S EVO へ|替えるべき人と、今のままでいい人

 

ツーリング仲間が、ひとり、またひとりと新しいインカムに替えていく。集合場所で「メッシュでつなぐぞ」と言われて、自分の 20S や 30K を見下ろす。——これ、まだ仲間の輪に入れるのだろうか。

長く使っているインカムほど、この不安はきつい。壊れてはいない。音も出る。それでも「自分だけつながらないのでは」と思うと、走っている間ずっと落ち着かない。かといって6万円近い最新機を、まだ動くものの隣に買い足す踏ん切りもつかない。

先に、いちばん大事なことを書いておく。30K と 50S を使っているなら、あなたは買い替えなくても最新の仲間とつながれる可能性が高い。無料のファームウェア更新だけで済む。これは筆者の推測ではなく、SENA が公式サイトで案内している内容だ。

この記事では、SENA Bluetooth Japan の公式情報だけを突き合わせて、

  • なぜ「新しい人と古い人」でメッシュがつながらなくなるのか、その仕組み
  • 30K・50S が無料で最新世代に追いつくという、意外と知られていない事実
  • メッシュ非対応の 20S・20S EVO に残された抜け道
  • 旧モデルと 60S EVO の差は、実際のところどこがどれだけ違うのか
  • そのうえで、買い替える価値がある人/今のままでいい人の条件

を整理する。読み終えるころには、財布を開く前に自分の結論が出ているはずだ。

※本記事はアフィリエイト広告(PR)を含む。商品リンクから購入された場合、売上の一部が当サイトに還元されることがある。評価・紹介内容は公式スペックと第三者レビューに基づく独自の調査によるもので、報酬の有無で内容を変えていない。

結論:買い替える前に、確かめることがある

「つながらない」の原因は、機種が古いことではない。メッシュの世代(バージョン)が仲間と揃っていないことだ。ここが根本原因になる。

SENA のメッシュには 1.0・2.0・3.0 という世代があり、世代が違う機械どうしは接続できない。これは公式に明記されている仕様で、後述する。つまり問題は「古い/新しい」ではなく「揃っている/揃っていない」であり、揃え方は買い替えだけではない。

結論を3行で示す。

  • 30K・50S を使っている人 … ファームウェアを更新すれば最新の MESH 3.0 になる。まずは無料で解決を試す。
  • 20S・20S EVO を使っている人 … メッシュには対応していない。ただし仲間の 60S 系を経由して参加できる余地はある。買い替えの優先度はこちらが高い。
  • 買い替えの本当の理由は「つながる/つながらない」ではない … 60S EVO で実際に大きく変わるのは通話時間だ。加えて、防水等級(IPX7)や保証のように旧モデルでは公式に示されていない条件が明記されている点も差になる。ここに価値を感じるかどうかで決める。

買い替え先の候補として本記事が扱うのは SENA 60S EVO(2026年8月1日発売・シングル59,800円/税込)だが、全員に勧める記事ではない。「替えなくていい人」の条件も同じ重さで書く。

なお、60S EVO そのものの性能や評判をもっと詳しく知りたい場合は SENA 60S EVO レビュー にまとめてある。本記事は「いま持っているものをどうするか」に集中する。

自分で判断できるようになると、得られること

インカムの買い替えは、他の用品と決定的に違う点がある。ひとりで完結しないということだ。ヘルメットは自分が満足すれば終わりだが、インカムは仲間とつながって初めて意味を持つ。だから判断の軸も変わる。

仕組みを理解したうえで判断できるようになると、次の3つが手に入る。

1. 0円で解決するかもしれない

「古いから買い替えるしかない」と思い込んだまま6万円を払う人と、まず更新を試す人がいる。後者は、うまくいけば1円も使わずに同じ結果を得る。どちらになるかは、仕組みを知っているかどうかだけの差だ。

2. 買うなら「何に払う金か」が説明できる

60S EVO に替えて劇的に変わる項目と、まったく変わらない項目がある。通信距離のように、10年近く前の機種と数値が同じ項目すらある。払う対象がはっきりすれば、買ったあとに「思ったほど変わらなかった」とはならない。

3. 自分だけでなく、グループ全体をつながる状態にできる

世代の仕組みが分かると、「自分が替えるべきか」だけでなく「仲間の誰が何をすればグループ全員がつながるか」まで見えてくる。走り出す前の集合場所で、それを説明できる人がひとりいると全員が助かる。

以下、この3つの根拠を公式情報で順に確認していく。

【1】メッシュは、世代が違うとつながらない

まず根本原因から。SENA のメッシュ通信は、これまで2回の世代交代をしている。そして世代をまたぐ接続はできないと公式が明記している。

2020年、Mesh 2.0 が公開されたときの案内はこうだ。

Mesh2.0はMesh1.0(現行Mesh)とは互換性がありませんので、このファームウェアに更新した場合、一緒に走る全ての30K、または+Meshも同じファームウェアに更新してください

(出典:SENA Bluetooth Japan「30K、+MeshがMesh2.0にアップグレードされました」

そして MESH 3.0 でも同じことが繰り返されている。

MESH 2.0とは互換性がありません

MESH 2.0のみ対応のデバイスとは接続できなくなります

(出典:SENA Bluetooth Japan「最新ファームウェアによるMESH3.0対応のお知らせ」

つまりメッシュは「新しいほど良い」という単純な話ではない。一緒に走る全員が同じ世代でなければ、そもそもつながらない。

ここから2つのことが導かれる。ひとつは、自分だけ最新機を買っても、仲間が古い世代のままなら解決しないということ。もうひとつは逆に、自分が古いままでも、世代さえ揃えられれば解決するということだ。

しかも世代は固定ではない。新しい機械の側を、古い世代に合わせて下げることもできる。同じ公式案内に、こう書かれている。

Sena Motorcycles Appのデバイス設定画面からMESH 3.0をオフにしてください

MESH 3.0 をオフにすれば MESH 2.0 モードになる。つまり「新しい人が古い人に合わせる」という解決策も、公式に用意されている。

【2】30K・50S は、更新するだけで最新の仲間に追いつく

ここが本記事でいちばん伝えたい事実だ。

先ほどの MESH 3.0 対応のお知らせには、どの製品が MESH 3.0 に対応するかの一覧が載っている。そこに旧モデルが並んでいる。

区分 対象製品(お知らせに記載のもの)
新たに MESH 3.0 対応 30K-01(v3.5)50S-01(v1.5)・50R-01(v1.5)・50C(v1.4)
すでに MESH 3.0 対応済み 30K-03・50S-10・50R-02・SRL-MESH-01・SRL-EXT-01・SRL-03・SPIDER ST1

(出典:SENA Bluetooth Japan「最新ファームウェアによるMESH3.0対応のお知らせ」

30K も 50S も、型番違いを含めて MESH 3.0 の対象に入っている。しかも 30K の製品ページ 本文にも「SENA MESH3.0に対応」と書かれている。

30K は2018年ごろから使われてきた機種だ。その 30K が、買い替えずに、無料の更新だけで 2026年の最新機と同じ世代のメッシュに乗れる。

これは「古い=仲間とつながらない=買い替えるしかない」という思い込みを、正面から否定する事実だ。集合場所で肩身の狭い思いをしていた 30K・50S ユーザーは、まずスマートフォンのアプリでファームウェアを更新するところから始めてほしい(手順は後述する)。

注意:更新は「自分だけやれば済む」ものではない。世代が揃わなければつながらない以上、一緒に走る全員が同じ世代にいる必要がある。誰かひとりが MESH 2.0 のままなら、その人はグループに入れない。更新は走る前に、仲間全員で足並みを揃えて行うのが確実だ。

【3】20S・20S EVO はメッシュ非対応──ただし抜け道がある

一方、20S・20S EVO には残念な話になる。

20S EVO の製品ページ機能仕様ページ を見ても、メッシュに関する記載はない。Bluetooth 4.1 を使った最大8人の同時通話が中心の機種で、前述の MESH 3.0 対応製品の一覧にも 20S 系は含まれていない。

つまり 20S・20S EVO は、ファームウェアを更新してもメッシュには参加できない。ここが 30K・50S との決定的な違いであり、買い替えの優先度が高くなる理由だ。

ただし、完全に締め出されるわけではない。60S 側から旧機を引き込む機能がある。

60S EVO のオンラインマニュアル に「BluetoothインターコムをMESHグループに参加させる」という項目があり、Bluetooth インターコムで通話している相手を、60S EVO を経由してメッシュグループに参加させられる。

Bluetoothインターコム通話状態のまま、60Sのメッシュボタンをタップしてください。Meshグループに参加することができます。

仲間の誰かが 60S 系を持っていれば、20S のままでもメッシュの輪に入れる余地があるということだ。同じ機能は 60S(無印)のマニュアル にも記載があり、そちらには「オープンメッシュ、グループメッシュどちらにも参加可能です」とある。

ただし制約も同じページに明記されている。

60Sがゲートウェイとして機能する際、2人のメッシュインターコムが同時に1台のBluetoothインターコムと接続すると、クローズドループ状態が発生します。

クローズドループが起きるとグループ全体にオーディオノイズが出る。つまりつなぎ方を間違えると、全員に迷惑がかかる。誰か1台がゲートウェイ役を担う前提の、やや繊細な運用になる。毎回これを説明して回るのが現実的かどうかは、走るメンバーとの関係次第だろう。

なお 20S(無印)についても、製品ページ にメッシュの記載はなく、Bluetooth 4.1・最大8人・通信距離2.0kmという 20S EVO と同系統の仕様が並ぶ。ページ上部には「在庫限り」と表示されている。

【4】数字で見る、旧モデルと 60S EVO の本当の差

「つながる/つながらない」の問題が整理できたところで、次の問いに移る。では買い替えると、実際に何がどれだけ良くなるのか。

公式スペックを並べると、答えははっきり3つに分かれる。

いちばん変わるのは、通話時間

項目 30K 60S EVO
メッシュ通話時間 10時間 最大19時間 約1.9倍
Bluetooth 通話時間 11時間 最大27時間 約2.5倍

(出典:30K 機能・仕様60S EVO 機能・仕様

これが買い替えでいちばん実感が変わる項目だ。朝から晩まで走って、途中でバッテリーを気にせずに済むかどうかの差になる。宿泊ツーリングで「夜に充電を忘れると翌日が持たない」という経験がある人には、この差は大きい。

20S EVO は連続使用13時間、30K は Bluetooth 11時間・メッシュ10時間。対して 60S EVO は Bluetooth 27時間・メッシュ19時間。一日走り切って、まだ余裕が残る水準になる。

まったく変わらないのは、通信距離

一方で、期待されがちなのに10年近く変わっていない項目もある。

機種 通信距離(公式表記)
20S EVO 2.0km(見通しの良いところ)
30K 最長2,000m(見通しの良いところ)
60S EVO 最大2.0km(見通しの良い環境)

(出典:20S EVO 機能・仕様30K 機能・仕様60S EVO 機能・仕様

3機種とも、公式表記は同じ最大2.0kmだ。「新しいインカムほど遠くまで飛ぶ」というのは、少なくとも SENA のこのクラスに関しては当てはまらない。

離れて走ったときに届く距離を求めて買い替えるなら、期待は下方修正しておいたほうがいい。距離が伸びるのは、メッシュで間に人が入ったとき(中継されるため)であって、1対1で飛ぶ距離そのものではない。

60S EVO のほうが「重い」

そして、上位機が全項目で優れているわけでもない。

項目 20S EVO 30K 60S EVO
重量 61g 61g 68g
スピーカー厚 40mm×6.5mm 40mm×7.2mm 40mm×9mm

(出典:各機能・仕様ページ)

60S EVO は旧モデルより7g重く、スピーカーも厚い。ヘルメットに入れる部品なので、厚みは装着感に効いてくる部分だ。ヘルメットの内装が薄い、あるいは頭とヘルメットのクリアランスが少ない人は、スピーカーの厚みが増えることを頭に入れておきたい。

7g という数字自体は、ヘルメット本体の重量差(数百g単位)に比べれば小さい。ただ「新しいほど軽くなっているはず」という前提は、ここでは成り立たない。

旧モデルと 60S EVO のスペック比較

ここまでの内容を一覧で整理する。なお、この表を公式サイトで作ることは現状できない。SENA の製品モデル別機能一覧ページは「製品モデル別機能一覧2019年度版は、『製品ラインアップページ』へ移動いたしました」という案内だけが残っており、旧モデルと最新モデルを横に並べて比べられる表が、公式にも存在しない状態にある。

項目 20S EVO 30K 50S SENA 60S EVO
メッシュ 記載なし(非対応) MESH 3.0 に対応 MESH 3.0 対応(50S-01 v1.5) Mesh Intercom 3.0 / 2.0対応
メッシュ最大人数 最大24人(グループメッシュ) 要確認 最大24人(グループMesh)
Bluetooth 4.1 5.0(30K-03) 要確認 5.3
Bluetooth 最大人数 8人で同時通話 ヘッドセット3台まで 要確認 4人
通信距離 2.0km 最長2,000m 要確認 最大2.0km
メッシュ通話時間 10時間 ※公式内で不一致 最大19時間
Bluetooth 通話時間 連続使用13時間 11時間 ※公式内で不一致 最大27時間
重量 61g 61g 要確認 68g
スピーカー 40mm×6.5mm 40mm×7.2mm 40mm×7.2mm 40mm×9mm
防水 記載なし 記載なし 要確認 IPX7
保証 記載なし 記載なし 要確認 限定生涯保証(※製品ページの表記。公式保証規定は2年)
充電時間 約2.5時間 約2.5時間 要確認 約2.5時間/約1.5時間※

※出典:20S EVO 機能・仕様30K 機能・仕様60S EVO 機能・仕様(いずれも2026年7月31日確認)

※60S EVO の充電時間は公式ページ内に約2.5時間・約1.5時間の両方の記載があり、確定できないため両論を併記した。

※50S は通話時間について SENA 公式サイト内で記載が食い違っている(製品ページは約11時間/約12時間、機能仕様ページは13時間/16時間)。どちらが正しいか公式に確認できないため、本記事では断定せず「要確認」とした。なおメッシュ世代の「要確認」は解消済み(2026年8月7日)——SENA 公式の MESH 3.0 対応のお知らせ50S-10=「既対応(v2.6)」と明記されており、50S はファームウェア更新で MESH 3.0 になる(製品ページの「MESH2.0」表記が古いだけ)。「メッシュ世代が古いから買い替える」という理由は成り立たない。50S の詳細は SENA 50S レビュー を参照。

旧モデルは公式に防水等級・保証期間の記載がない。これは「防水性能が低い」という意味ではなく、公式ページに記載が見当たらないという意味だ。一方 60S EVO は IPX7 を明記している。

「限定生涯保証」は、そのまま受け取らないほうがいい

60S EVO の売り文句のひとつが「限定生涯保証(Limited Lifetime Warranty)」だ。60S EVO の製品ページ にも明記されている。ただし、ここには注意が要る。

SENA 公式の製品保証ページには、限定生涯保証への言及がない。

製品保証期間は、購入日から2年(Quantum Serieは3年)です。

(出典:SENA Bluetooth Japan「免責・製品保証」・2026年7月31日確認)

つまり製品ページは「限定生涯保証」を掲げ、保証規定のページは「2年(Quantum Series は3年)」としているという状態にある。国内でどちらの条件が適用されるのか、公式サイトからは確定できない。

また「限定」という語のとおり、生涯すべてが無条件に守られるわけでもない。SENA の海外向け案内では、限定生涯保証の対象は本体ユニットのみで、バッテリーとクランプキットは5年、さらに最初の購入者に限られるとされている。日本国内で同じ条件が適用されるかは公式に確認できていない。

なお国内の保証規定には、保証対象外となる条件も明記されている。転倒・落下・衝突による外傷、改造や許可されていない修理・分解の痕跡、消耗部品の摩耗や交換、そして「オークション等の個人間売買(譲渡)などを含む中古販売によって入手した製品」は保証対象外だ。中古で旧モデルを買い足そうと考えている人は、この点を頭に入れておきたい。

結論として、保証を買い替えの理由にするなら「限定生涯保証だから安心」ではなく、「購入前に販売店と公式サポートへ適用条件を確認したうえで」判断するのが正しい。旧モデルの保証期間が公式ページに書かれていない以上、比較そのものが現時点では確定できない。

旧モデルは「終息」なのか──公式サイトの中でも扱いが割れている

もうひとつ、読者が自力では判断できない事情がある。自分の機種がもう終わったのかどうかが、公式サイトを見ても分からない。

SENA には 旧製品ラインアップ というページがあり、そこには「終息予定製品で在庫限りの販売となります」と書かれている。20S EVO・30K・50S は、いずれもこのページに掲載されている。

ところが同じ3機種は、製品ラインアップ(現行)のページにも並んでいる。しかも掲載されている価格が2つのページで食い違う

つまり「終息予定・在庫限り」とも「現行製品」とも読める状態が、公式サイトの中に同時に存在している。

本記事が旧モデルの販売ステータスを断定しないのは、このためだ。同じ理由で、旧モデルの現在価格も本文では扱っていない。「もうすぐ終わるから今のうちに」という煽り方も、逆に「まだ現行だから安心」という言い方も、どちらも公式情報からは支持できない。

だからこそ、判断材料は販売ステータスではなく機能(メッシュの世代・通話時間)と保証に置くべきだ。ここまで見てきた項目が、その材料になる。

最新価格と在庫は販売ページで確認できる。

SENA 60S EVO(シングルパック・1台/59,800円 税込)

SENA 60S EVO シングルパック

SENA 60S EVO シングルパックを楽天市場で見る

SENA 60S EVO をAmazonで見る

SENA 60S EVO(デュアルパック・2台セット/113,800円 税込)

SENA 60S EVO デュアルパック

SENA 60S EVO デュアルパックを楽天市場で見る

※デュアルパックはタンデムや夫婦・仲間との2台同時導入向けで、単体を2つ買うより1台あたりは安くなる。ただし2台揃えて確実につながるのはその2人の間までで、ほかの仲間とつながるかどうかはメッシュの世代次第になる。

旧モデルへのリンクは置いていない。 前述のとおり 20S EVO・30K・50S は公式サイト上での扱いが定まっておらず、いま新品で買い足すことを勧められる状態にないためだ。本記事が扱うのはあくまで「いま持っている旧モデルをどうするか」であって、旧モデルの購入ではない。

規格・法令の扱い:インカムの論点は技適だけ

ヘルメット本体と違い、インカムは JIS・PSC・SG といったヘルメットの安全規格の対象ではない。乗車用ヘルメットに求められる規格の話と混同しないようにしたい。

インカムで確認すべき法令上の論点は、電波法上の技術基準適合証明(技適)だけだ。国内で正規に流通している SENA 製品は、この認証を取得したうえで販売されている。20S EVO の機能・仕様ページにも TELEC 認証取得の記載がある。

つまり、旧モデルを使い続けること自体に法令上の問題はない。「古いから危ない」「規格的に使えなくなる」といった話ではないことは、はっきりさせておきたい。

SENA 60S EVO の価格と購入方法

買い替えを選ぶ場合の条件を整理する。

項目 内容
シングルパック 59,800円(税込・型番 60S-EVO-01)
デュアルパック 113,800円(税込・型番 60S-EVO-01D)
国内発売日 2026年8月1日(SENA プロショップ先行)/2026年8月8日(全国のバイクショップ)

(出典:SENA Bluetooth Japan お知らせ60S EVO パッケージ・2026年7月31日確認)

タンデムや、夫婦・仲間との2台同時導入を考えているなら、デュアルパックのほうが1台あたりは安くなる。ただし世代の問題を思い出してほしい。2台同時に揃えれば、その2人の間は確実につながる。それ以外の仲間とつながるかどうかは、やはり仲間側の世代次第だ。

なお、60S EVO ではなく無印の 60S という選択肢もある。両者の違いは SENA 60S EVO と 60S の比較 に整理してある。買い替えると決めたあとの機種選びは、そちらを参照してほしい。

買い替えたほうがいい人・今のままでいい人

ここまでの事実をもとに、判断の条件をまとめる。

買い替える価値がある3つの条件

1. 20S・20S EVO を使っていて、メッシュで走りたい

これがいちばん明確な条件だ。20S 系はファームウェアを更新してもメッシュに参加できない。メッシュが必要なら、買い替えが基本の選択肢になる。仲間の 60S 系を経由する方法はあるが、毎回その運用ができる前提でなければ現実的ではない。

2. 一日の走行が長く、バッテリーを気にしている

メッシュ10時間 → 19時間、Bluetooth 11時間 → 27時間という差は、走り方によっては決定的に効く。朝から晩まで走る人、連泊ツーリングをする人は、この差に払う価値がある。

3. 新品を、保証の条件を確かめたうえで長く使いたい

60S EVO は製品ページで限定生涯保証を掲げている。ただし前述のとおり国内の保証規定ページは「購入日から2年」としており、条件が確定できない。それでも、旧モデルは公式ページに保証期間の記載すらなく、中古で入手した個体は規定上そもそも保証対象外だ。保証を重視するなら、条件を販売店に確認したうえで新品を買うという判断にはなる。「限定生涯保証だから一生安心」という理由で決めるのは避けたい。

買い替えなくていい3つの条件

1. 30K・50S を使っていて、まだファームウェアを更新していない

最優先でやることは買い物ではなく更新だ。MESH 3.0 に上げれば、最新の仲間と同じ世代に乗れる。それで不満が消えるなら、6万円は不要になる。

2. 通信距離が不満で買い替えを考えている

前述のとおり、公式表記の通信距離は 20S EVO・30K・60S EVO のいずれも最大2.0kmで変わらない。距離を理由に買い替えても、期待した変化は起きない可能性が高い。

3. 少人数・短時間で、いまの通話時間で足りている

2〜3人の日帰りツーリングが中心で、バッテリーが切れて困った経験がないなら、60S EVO に替えて劇的に変わる部分は少ない。通話時間の差が効いてこないためだ。

機種別・買い替え判断

20S・20S EVO を使っている人

メッシュ非対応が確定的な差になる。仲間がメッシュで走るようになっているなら、買い替えの優先度は高い。逆に、仲間内も Bluetooth 接続のままで問題が起きていないなら、急ぐ理由はない。判断の分かれ目は「仲間がメッシュに移行したかどうか」だ。

30K を使っている人

まず MESH 3.0 への更新を試す。それで仲間とつながるなら、買い替えの必要性はいったん消える。そのうえで通話時間(メッシュ10時間)に不満があるかどうかが、次の判断軸になる。30K は Bluetooth 5.0・グループメッシュ最大24人と、いまでも通用する仕様を持っている。

50S を使っている人

こちらも MESH 3.0 の対象だ。まず更新する。50S は 60S EVO と近い世代の機種で、買い替えによる変化は 20S・30K からの買い替えほど大きくない。このクラスからの買い替えは「必要だから」より「新しいものが欲しいから」に近くなることは、正直に書いておきたい。

買い替える前に、無料でできる3ステップ

買い替えを検討している 30K・50S ユーザーは、その前に次の3つを試してほしい。費用はかからない。

ステップ1:ファームウェアを最新にする

スマートフォンの Sena Motorcycles アプリ、またはパソコンの Sena Device Manager から更新する。30K は v3.5 以降、50S-01 は v1.5 以降が MESH 3.0 対応の目安になる(出典:MESH3.0対応のお知らせ)。手順の詳細は公式の案内に従うこと。

ステップ2:メッシュのバージョンを確認する

Sena Motorcycles アプリのデバイス設定画面で、MESH 3.0 のオン/オフを確認できる。仲間に MESH 2.0 のままの人がいる場合は、こちら側を 3.0 からオフにして 2.0 に合わせるという選択肢もある。

ステップ3:走る前に、仲間と世代をそろえる

これがいちばん大事で、いちばん忘れられている。メッシュは全員が同じ世代でなければつながらない。集合してから「つながらない」と騒ぐより、前日に「全員 MESH 3.0 にしておこう」と一言送っておくほうが確実だ。

この3つを試したうえで、それでも通話時間や保証に不満が残るなら、そのときが買い替えのタイミングになる。

よくある質問

Q. 30K のままで、60S EVO を使っている仲間と話せますか?

メッシュの世代を揃えれば可能性はある。30K は MESH 3.0 対応製品の一覧に含まれており、ファームウェアを更新すれば 60S EVO と同じ MESH 3.0 になる。ただし実際の接続可否は双方の設定やバージョンによるため、走る前に実機で確認してほしい。

Q. 60S EVO を買えば、古い機種の仲間とも話せますか?

メッシュに関しては、60S EVO 側を MESH 2.0 に切り替えることで古い世代に合わせられる(Sena Motorcycles アプリの設定から MESH 3.0 をオフ)。また 60S EVO のマニュアルには、Bluetooth インターコムをメッシュグループに参加させる機能も記載されている。「新しいものを買えば無条件に全員とつながる」わけではなく、設定で合わせにいく必要があるという理解が正しい。

Q. 20S はもうメッシュに参加できませんか?

20S・20S EVO の公式ページにメッシュの記載はなく、MESH 3.0 対応製品の一覧にも含まれていない。単体でメッシュに参加することはできないと考えられる。ただし仲間の 60S 系をゲートウェイとして経由する方法は公式マニュアルに記載がある。

Q. 新しいインカムほど、遠くまで届きますか?

公式表記を見るかぎり、20S EVO・30K・60S EVO はいずれも最大2.0kmで同じだ。世代が新しいほど飛ぶ、という関係にはなっていない。

Q. 旧モデルは修理やバッテリー交換をしてもらえますか?

長く使った機種ほど、バッテリーの持ちは新品時より落ちる。ただし旧モデルの修理受付やバッテリー交換の可否・期間について、SENA 公式サイトに明記された案内は見当たらなかった(製品取扱ページ・保証ページのいずれにも記載なし)。機種と時期によって変わるため、購入店または SENA の公式サポートへ直接確認するのが確実だ。

なお公式は「バッテリーを本体から分離、分解することを固く禁止します」としている(出典:製品取扱について)。自分でバッテリーを交換するという選択肢は考えないほうがいい。また保証規定上、改造や許可されていない修理・分解の痕跡がある製品は保証対象外になる。

Q. いま使っている旧モデルを、2台目やタンデム用に残せますか?

Bluetooth 接続であれば、旧モデルを同乗者用に回す使い方はできる。ただしメッシュを使う場合は、やはり世代を揃える必要がある。タンデム相手が 20S 系のままなら、メッシュのグループには一緒に入れない点に注意したい。

まとめ

  • 「つながらない」の原因は機種の古さではなく、メッシュの世代が揃っていないこと。SENA のメッシュは 1.0・2.0・3.0 が互いに非互換で、全員が同じ世代である必要がある。
  • 30K・50S は、無料のファームウェア更新で MESH 3.0 になる。買い替える前に、まず更新を試す価値がある。
  • 20S・20S EVO はメッシュ非対応。仲間の 60S 系を経由する抜け道はあるが、メッシュで走りたいなら買い替えの優先度は高い。
  • 買い替えで本当に変わるのは通話時間。メッシュ10時間→19時間、Bluetooth 11時間→27時間。一方で通信距離は変わらず、重量は7g増える。
  • 「限定生涯保証」は鵜呑みにしない。製品ページはそう掲げているが、公式の保証規定ページは「購入日から2年(Quantum Series は3年)」としており、国内の適用条件を公式サイトから確定できない。
  • 結論として、買い替えるべきは「20S 系でメッシュが必要な人」「一日の走行が長い人」「防水・保証などの条件が明記された新品で揃えたい人」。30K・50S で少人数・短時間の走り方なら、更新だけで足りることが多い。

インカムは仲間とつながって初めて意味を持つ道具だ。だからこそ、自分ひとりの買い物として決めないほうがいい。まず更新を試し、それでも足りなければ買い替える。この順番なら、払った金額に対して納得できるはずだ。

SENA 60S EVO(シングルパック・1台/59,800円 税込)

SENA 60S EVO シングルパック

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SENA 60S EVO(デュアルパック・2台セット/113,800円 税込)

SENA 60S EVO デュアルパック

SENA 60S EVO デュアルパックを楽天市場で見る

※デュアルパックはタンデムや夫婦・仲間との2台同時導入向けで、単体を2つ買うより1台あたりは安くなる。ただし2台揃えて確実につながるのはその2人の間までで、ほかの仲間とつながるかどうかはメッシュの世代次第になる。

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出典・参考記事

SENA Bluetooth Japan(公式・2026年7月31日確認)

SENA(グローバル・参考)

  • Limited Lifetime Warranty … 限定生涯保証の対象範囲(本体ユニットのみ・バッテリー/クランプキットは5年・最初の購入者に限る)。日本国内での適用条件は公式に確認できていないため、本記事では参考情報として扱っている。

※価格・スペック・対応状況は取得時点の参考値。最新情報は各公式・販売店で確認のこと。

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